「この書の目ざすところは人間存在の構造契機としての風土性を明らかにすることである。だからここでは自然環境がいかに人間生活を規定するかということが問題なのではない。」
これは、和辻哲郎氏の「風土」の序言です。この本は、大学の構造の教授に薦められ、ゼミで読み会をしたこともありました。
その教授は、「禅」を行い、道元禅師の書の現代訳にも協力者として、名前を列ねていました。
授業は厳しく、「教室は道場だ」というのがモットー。
「学生運動盛んな時にも、学生をくい止めにいった。」という話も聞きました。
あまりに頑固で、学生に敬遠されていたところがあったみたいです。
私は、結構その頑固さが気に入っていて、2年の時のこんな時期に、ゼミの忘年会を開き、教授も招きました。学生と飲むのは、はじめてだったそうです。調子に乗った私達は、ディスコにも行き...踊りました。
私は、3年から計画系のゼミに移ってしまい、1年間だけのつき合いでしたが、数年後の退官パーティーでは、ちゃんと覚えていてくれました。
もう亡くなられて何年たつのでしょう。忘年会シーズンの、こんな時期になると、その教授のことを思い出します。隣のテーブルの女の子達と、教授を囲んで踊った時の笑顔は、あの場にいた私達しか知りません。
そんな訳で、今日、私の机のうえには、「風土」が広がっています。