私がシトロエンを好きな理由

 以前にもお話したとおり、私の愛車はシトロエン2CV(ドゥ・シュボォ)です。この車に出会ったのは今から14年ほど前のことです。以来、4年程ガレージで眠らせていた時期はあるものの、ずっと所有し続けています。1度乗ったら手放せなくなってしまったようです。
 2CVの基本設計は、1948年に登場以来変わっていません。排気量が375cc/9PHから602cc/29PHに、前輪ブレーキがドラムからディスクに、ドアヒンジの位置、メーター類等、細かい部分の変更はあるものの、特徴あるボディや前後を繋いだストロークの深いサスペンション、ロングストロークの水平対向アルミ製空冷エンジン、独特のシフトレバーなどは、そのままです。19994年に生産は中止されましたが、現在でも十分現役として走ることができます...というより、今の時代においても、快適なドライビングを提供してくれます(細かいことはヌキにして!)。雨の日の高速道路や、峠の下り坂など、危険がイッパイの状況においても、ドライバーに安心感を与えてくれます。信じられませんか? でも本当なんです。
 こういった事は、2CVの初期の基本設計がいかに優れていたかを認識させてくれます。と同時に、自動車の原点(座標軸)の設定を明確に提示してくれるものです。
 これは、多様な価値観が交錯する現代において、とても重要なことだと思います。とくに、物の価値を提案していく仕事に携わる、私たち建築家やデザイナーにとっては...。
 シトロエンについて語り出すと長くなってしまうので、今日はここまで。この続きは、またの機会に。