距離とストレス

 満員電車で通勤・通学されている方も、多いと思います。いやですよね。見知らぬ他人と接する状態を数十分とか、1時間とか維持しなければならないのは、苦痛ですよね。
 人は、相手との親しさによって、間隔の取り方が変わってきます。例えば、家族や恋人同士など親しい間柄だと接するぐらいの距離でもOKです(これを密接距離といいます)、親しい友人だと45~75cmぐらい(個体距離)、個人的な関係のないもの同士だと120~215cmぐらい(社会距離)、かかわり合いの範囲外にいて、一方的な伝達が行われる場合には370~760cmぐらい(公衆距離)とされています。(エドワード.T.ホール「かくれた次元」より)
 満員電車内では、本来「社会距離」を保ちたい関係であるのに、「密接距離」を取らざるを得ない状況に追い込まれることから、ストレスを生み、不快になるわけです。
 エレベータという限られた空間の中で、見知らぬ人と同乗している場合も同じ状態になります。
 こうした状況下において、人はストレスから逃れるため目のやり場を探し、無表情になっていきます。
 都会で生活している以上、こういったことに慣れていかなければ、生活しにくいのでしょうが、ストレスは確実に蓄積されていきます。
 家庭は、こうして外で蓄積されたストレスを、解消する役割も担っていて、そのための仕掛けが、住居には必要となってきます。