陰影礼讃

現在の「家づくり通信」では、照明のことを扱っていますが、現在の照明設計では「明るさ」が特に重視されているように思います。
司馬遼太郎の対談集の中で、「闇は悪で、光は善、とするのは、アメリカ的...」と宮崎駿が言っていましたが、なにか現代は、明るさばかりが求められているような気もします。
かつて谷崎潤一郎がいっていたような、暗さの持つ上品さみたいなものが、もっと表現されてもいいように思います。
影がなければ、ものは平面的で薄平く見えます。あるいは、暗さは広さや高さと結びつくこともあるのです。
照明を考える時、どういう影を見せるのか...あるいは、どういう光を見せるのか...(明るいところでは、光は見えないわけで...わかってもらえるでしょうか...)といったことをもっと意識して、照明計画をすべきだと思います。
影がものに厚みを与え、生活にも厚みを加えていく...と思うのですが。
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