健康住宅にするための対策

問題要因の発生原因を絶ち、有害な建材を避ける。対策としては、次のようなことが考えられます。

1. 建材の選択 中毒対策
アレルギー対策
化学物質過敏症対策
2. 換気

 


■中毒対策 

中毒とは アレルギーや化学物質過敏症と異なり、一定量を被爆すると、誰もが陥る症状。
中毒原因 床下のシロアリ駆除剤、木材の防虫処理剤、畳の防虫処理剤、室内で使用する防虫スプレー 等。
中毒対策 シロアリ駆除:駆除剤ではなく、シロアリ忌避効果のある木酢液やヒノキチオールを使用してみる。駆除剤を使う場合も、有機リン系を避け、ピレスロイド系かカーバメイト系のものを局所的に使う。床下に木炭を敷いたり、床下換気口を増やしたり、床下換気扇を付けるなどして、湿気のコントロールをする。

新築の場合は、床下の換気が十分行われるように配慮し、土台には、ヒノキ、ヒバ等の耐蟻性の強い樹種の芯のある材料を用いる。

畳の防虫:室温の管理を行い、湿度を下げる(60%以下)。炭入畳を利用する。セラミックで坑菌、防ダニ加工した畳表を使用する。ヒノキチオールを染み込ませたシートを組み込んだ畳を使用する。

 


■アレルギー対策 

アレルギーとは アレルゲンを持つ人に対してだけ、症状が現われる。
アレルギー原因 化学繊維、絹などの天然繊維、室内塵、カビ、ダニ、化学物質
アレルギー対策 化学繊維、絹などの天然繊維、化学物質:そのひとのアレルゲンを明らかにし、その物質を排除するか、原因となる環境をつくらないようにする。

カビ、ダニ:コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニは、アトピー性皮膚炎の最大の原因と言われている。これらは室温25℃、湿度70%付近で最も繁殖するので、換気や除湿によって、湿度を下げる。

対流式での冷暖房は、室内の粉塵やダニ類を撹拌し、必要以上に室温を上げることから、ダニの繁殖を促進することになる。エアコン自身が、カビ、ダニの繁殖箇所になっていることも多い。したがって、床暖房やパネルヒーティング等のふく射方式の暖房とする。

木、塗壁、紙性の壁装材などの調湿性の高い内装材を使用する。

天然の防虫効果のある材料(ヒバ、ヒノキ等)を内装仕上げ材に使用する。

 


■化学物質過敏症対策 

化学物質過敏症とは 最初に大量の化学物質を被爆したことから、その物質に対して症状が現われる。
化学物質過敏症原因 建材に含まれるさまざまな化学物質
化学物質過敏症対策 �揮発性有害物質を多く含む建材をなるべく使用しない。特に室内側の表面仕上げ材など空気環境に影響を与える箇所での使用を控える。

�塗料はなるべく天然系を用い、有機溶剤を使用していない、水性または天然油性のものを使用する。

�接着剤は大面積に使用する場合、有機溶剤を使用していない天然系のものが好ましい。壁紙用はメチルセルロース系、カーペット・フローリングにはダンマル樹脂・天然ラテックス系などを用いる。

�壁仕上げ材として、ビニルクロスはできるだけ避け、紙や布の壁紙や塗壁や木の仕上げが好ましい。これらは、有害物質を含まず、室内の湿気もコントロールする。ただし、下地の有害物質(合板のホルムアルデヒド等)が出てきやすくなるので下地の選択には注意が必要となる。

�床材には、天然木、コルク、天然リノリウムや、ウールや麻のカーペットが好ましい。(裏打ち材に留意する)

�室内空気に触れる合板には、なるべく低ホルムアルデヒド合板(F1タイプ)を使用する。特に物入れや押し入れ、食器棚ではノンホルム合板かスギ等の国産の天然ムク材、低ホルムアルデヒド含有パーティクルボードや MDF(中質繊維板)などを使用する。

�最低でま、ビニルクロスと有機溶剤塗料には注意する。それらの中の揮発性物質の発散持続期間が長いので、なかなか有害物質が消えて行かない。

�特に竣工時の換気を十分に行う。

 


■換気による対策 

 室内換気は、有害物質を排除する効果的な対策で、換気率に反比例して、空気中の有害物質の濃度が下がっていきます。換気率は、部屋の空気が1時間に入れ換わる回数で表わされます。次のように、在来の木造住宅とコンクリートの住宅では、換気率がかなり違います。

在来の木造住宅 (回/h) コンクリートの住宅 (回/h)
洋室8畳を密閉 1.2 4畳半を密閉 0.4
小窓を開ける 2.7 窓を開ける 4.3
ドアと小窓を開ける 9.1 窓とドアを開ける 17
大窓を開ける 11.4
ドアを開けて換気扇を使用 12.4
和室で障子と襖を閉める 4.2 (横浜国大:環境科学研究センター資料)

 有毒物質の多くは、新築から1年で1/10ぐらいに減っていきますが、あまり減少しない物質もあります。特に、物入れや押し入れのように密閉空間では高い濃度のまま残存し続ける場合もあるので注意が必要です。