追加工事費用の考え方

建設中に追加の工事を頼んだり、変更したりすることを追加工事、変更工事といいます。建築主と工事業者の間で十分な合意がないために、トラブルの原因となることが多い部分です。

家ができるまでの数カ月の間、建築主は、建築中の家を何度も訪れ、何度も検討し、物入れの追加とか、タイルの色の変更とか細々とした要望が出てくるので、必ず追加・変更ヵ所が出ると考えておいた方がよいです。

建築現場の雰囲気などから、棚ぐらいは当然サービスかな? と建築主は考えてしまいますが、実際に費用は掛かっているわけです。

実際、工事業者の方は、安い棚板のために、いちいち見積書を用意するのは面倒くさいので、多少の追加分の場合はサービスするつもり(つまり無料)でいます。

しかし、塵も積もれば...安いものでも積み重ねていけば、それなりの金額になっていて、工事業者も赤字になるわけにはいかず、最終的には、追加工事の請求書が出てくることになります。

こうした追加・変更工事のトラブルを防ぐためには、建築主としてはどう対処すればいいのでしょうか。必ず、追加工事を依頼するとき念を押すことです。「これはお金が掛かるのか、掛からないのか?。掛かるとすれば、いくらなのか?」

たくさん追加工事を頼んでいるときは、追加費用の合計を聞くことも大切です。

現場監督は書類を作るのが面倒なので、追加費用がいつまでも分からない場合も多いのです。あまりにも延びる時は、明確に通告してください。

また、最初に取り交わす契約書に、追加工事に関する考え方を明記しておくのも有効です。「追加工事に関しては、依頼後何日以内に追加費用が提出されない場合、費用はタダと考える。。。」など。

ひょっとしたら、サービスかも...といった、中途半端な気持ちで買うには、住まいは高すぎる買い物だということを、肝に銘じておいてください。

工事費用の支払い方

数千万円もする住まいの工事費用は、いつどういう形で払うのでしょうか。

一般的なの支払い方法は、3回に分割して払います。

1回目は工事契約をした時です。工事費全体の1/3を払います。2回目は、上棟した後、屋根の形が見える頃です。同じく工事費の1/3を払います。3回目は、完成した時。残金は1/3残っていますから、それを払います。もし追加工事があったときは、追加金を加算して払います。

支払いは現金、即日払いが原則ですが、実際には請求書が出、銀行振込や小切手が使われています。

もちろん、建築主と工務店の間で合意ができれば、どのような方法でも可能です。

しかし、工事をする側としても、材料を買ったり、大工さんに労賃を払ったりしていかなければならないので、あまり長いこと立替えているわけにもいかず、まあ、工事進行に見合った分を3回ぐらいに分割して進むというわけです。

支払方法をもっと細かく分ける建設会社もあります。

契約書で決める工事範囲

工事範囲というのは、住宅を施工するにあったて、工事依頼をする範囲を施工者との間で明確にすることです。

インテリアの工事はどうするのか。。。細かい事を言えばカーテンレールは誰が取り付けるのか...といったことや、エアコンや設備機器、照明器具はどうするのか・・・・等々いろいろな状況が想定されますが、こういったことをきちんと決めておかなければ、正しい総工事費も算出されません。

契約時点で明確になっていないと、「これは、当然取り付けてくれると思っていたのに。。。」といったトラブルを引き起こす要因となります。

契約工事に入っていない「工事」のことを、「別途工事」といいます。別途工事、あるいは追加工事として、後から算出されてくる金額はバカになりません。工務店やハウジングメーカーから「では、別途工事ということで」と言われた場合にも、いったいその工事費用がどれぐらいの金額になるのか、確認しておくべきでしょう。

契約書には必ずきちんとした図面を添付してください。図面に記載されていることは全部工事の対象になると考えます。図面に描かれている工事がされていない場合には、工務店側の落ち度ですから、強く要求することができます。別途工事に関しては、図面内に別途工事と明記されます。

カーテン、テレビアンテナ、照明器具。このように目に見えるものは、工事内なのか別途工事なのか・・・、建て主が注意をすれば気がつくことです。

また、地方自治体で制度の異なる「水道負担金」とか「水道局納金」、「下水道負担金」という権利金やガス、電気、水道、下水の引き込み関係も別途工事になりやすい項目です。

契約に際して、これらの別途工事については充分な説明を受けてください。きちんと契約書に書き込むのがベストです。設計事務所がついている場合は、サポートしてくれるはずです。そうでない場合は、「この他に費用はかかるのか。」など、明確にし、契約書に書き込んでください。

工事契約書で決めること

契約書では何を決めるのでしょう。要約すると、次の5つを決めます。

  1. 工事金額
  2. 支払い方法
  3. 工事期間
  4. 工事の依頼範囲
  5. 保証期間

これらは、必ず明確にしてください。いい加減にしていると、後からトラブルを生む事になります。消費税がつくなら、そのことも明記しておくべきです。

この契約書が、全ての工事の基準となります。そこに書かれていることは、守るべきこととして行わなければなりません。逆に、書かれていないことは、別の契約(口頭の契約だとしても)によって、行われることになります。

工事後、工務店が費用がかさんで、追加金額要求してきても、突っぱねることができます。

逆に、途中で追加工事を頼んだ場合には、それが棚板1枚だとしても追加請求をされるのが原則です。