デザインとインターネット

 ホームページの目的には、様々なものがあって、現在は「ビジネス」にどう結び付けるかかが中心となっているようです。「バーチャルモール」とか「ポータルサイト」とか、ビジネスに直接結びついていく魅力がいっぱいの場ともいえるでしょう。そういう意味では、その場にデザインが結びついていくのは当然のことといえます。
 でも、今日のお話は、そういったこととは全く異なった視点からものです。
 私は専門学校で建築とデザインを教えているのですが、学生にとって、他者を意識して、自分の考えを表現する手法練習として、とても効果的なものと考えています。デザインにしても建築の設計にしても、クライアントという他者がいてはじめて成立する表現行為なのですが、学生にとってそのことは、なかなか気付きにくいことなのです。自らを表現することに集中し過ぎてしまって、それがどういう形で受け入れられていくのかまで、イメージすることができないことが多々あります。あるいは、他者の存在が「ものづくり」のモチベーション維持に繋がるということも、そういう経験がないと理解しにくいことがらかもしれません。
 そういう場合、インターネットを通じて、自らの考え(作品...という言い方はあまり好きではないので...)を発表していくというのは、とても有効な方法だと思います。
 もちろん問題は抱えています...まあ、結果はともかくとして、自分が発したものが、どういう意味をもつのか....5年とか10年とかしたら、分かってもらえるのではないかと期待しています。それは、今、発信しないでいるよりも、きっと得るものは大きいと思うからなんですけど...。
以下のURLから学生とつくったホームページがみられます。最新のものは、現在、学生の提出まちです。もう少ししたらアップできると思います。その時はまた、daily icalsでお知らせします。(終了しました)

環境問題?

先日専門学校で、新聞を使って簡単な情報分析を行いました。テーマは「環境」です。環境は、今最も論議されるべきテーマの一つだと考えています。特に名古屋は、「藤前干潟」の問題をはじめ、「中部国際空港」や「2005年万博」等、環境問題をいかにクリアしていくか...といった、課題のたくさんある地域だと思います。

新聞は今年に入ってからの物に限ったのですが、意外と記事になっておらず、1部の新聞から、3~6記事ぐらいでした。トップで扱っているものもありましたが、市民面(地方面)と投稿面、社会面といった生活者レベルからの記事が多かったようです(それぞれの面の5~30%ぐらい)。政治面や国際面、経済面には登場していませんでした。

また、正月特集ということで、多くの企業が年頭の挨拶を掲載していましたが、環境問題に触れていたのは、3社ぐらいだったそうです。

短い時間での作業であり、統一のとれた作業環境で行ったわけではないので、精度はいま一つだと思いますが、日本における「環境」の扱われ方の特徴は、なんとなく学生にも伝わったんじゃないかと思います。

私がシトロエンを好きな理由

 以前にもお話したとおり、私の愛車はシトロエン2CV(ドゥ・シュボォ)です。この車に出会ったのは今から14年ほど前のことです。以来、4年程ガレージで眠らせていた時期はあるものの、ずっと所有し続けています。1度乗ったら手放せなくなってしまったようです。
 2CVの基本設計は、1948年に登場以来変わっていません。排気量が375cc/9PHから602cc/29PHに、前輪ブレーキがドラムからディスクに、ドアヒンジの位置、メーター類等、細かい部分の変更はあるものの、特徴あるボディや前後を繋いだストロークの深いサスペンション、ロングストロークの水平対向アルミ製空冷エンジン、独特のシフトレバーなどは、そのままです。19994年に生産は中止されましたが、現在でも十分現役として走ることができます...というより、今の時代においても、快適なドライビングを提供してくれます(細かいことはヌキにして!)。雨の日の高速道路や、峠の下り坂など、危険がイッパイの状況においても、ドライバーに安心感を与えてくれます。信じられませんか? でも本当なんです。
 こういった事は、2CVの初期の基本設計がいかに優れていたかを認識させてくれます。と同時に、自動車の原点(座標軸)の設定を明確に提示してくれるものです。
 これは、多様な価値観が交錯する現代において、とても重要なことだと思います。とくに、物の価値を提案していく仕事に携わる、私たち建築家やデザイナーにとっては...。
 シトロエンについて語り出すと長くなってしまうので、今日はここまで。この続きは、またの機会に。

電話今昔物語

こうやってインターネットに接続されている皆さんは、多分、携帯電話とかPHSとかいったものをお持ちのことでしょう。街角で、歩きながら電話している人達を見るのは、今やごくごく当たり前の光景となっています。

私が、まだ幼かった頃、家には電話がありませんでした。どうしてたかって? 呼び出し電話といって、隣の家の人がとりついでくれるのです。ですから、電話による会話にプライバシーなどありませんでした。どこの誰から電話がかかってきているのか、隣人は知っているわけですから。長電話も存在しません。当然ですよね。電話をかける時は、公衆電話を使うわけです。電話によるコミュニケーションの在り方は、今と全然ちがいますね。多分こういう家庭は、私の所だけではなかったと思います。まあ、自宅に電話のある家庭にしても、家が商売でもやっていない限り、頻繁に電話を使うことなどなかったでしょう。

そういった意味で、当時と今では、電話器に対する概念は、まったく違ったものになっているはずです。各部屋に電話があって、各人が携帯式の電話を持っているわけですから...コミュニケーション、あるいはコミュニティ(家庭を含めた...)の概念も変わってしまったでしょうね。

そういう意味では、テレビに対する概念は、さほど変わっていないのかもしれない。道具として完結してしまっていて、概念の成長がなかったとか...そういう理由なのでしょうか...よく分りませんが。

確かに、電話器は道具として完結していないですよね...話す相手が居て成り立っている道具なのですから。向こう側にいろいろな相手を存在させることで、使い方も変わってくるでしょうし...。

ではインターネットは? これはもう、全然完結しませんよね。

小さな旅の思い出

名古屋の近くに多治見という町がある。陶器産業で有名な土地である。ここに虎渓山永保寺というお寺がある。ここがなかなかいい。学生時代からたびたび訪れている。秋の紅葉のころもいいが、寒い冬に、門前の茶屋で、田楽とおでんをつまみに、熱燗で暖まりながら、散策するのもわるくない(本当は悪いことです)。

室町時代に夢窓疎石(京都の天竜寺を開いた禅僧)が開いた禅寺で、庭が美しい。山地の傾斜を利用した3次元の構成が目を引く。柿葺きの屋根は、美しい曲線を作り出していて、ここらあたりの建築物としては、最も美しいものの一つだと思う。修行寺なので、活気があって、そこもいい。

この近くには修道院があって、この建物もなかなかいい。ブドウ畑があって、ここで作られたワインが、日本中の修道院(この宗派のかな?)で飲まれると聞いたことがある。

そうこうしているうちに、陽は傾き、薄暗くなってくる。こんな小さな旅に、一日を遊ぶのは楽しいものだ。

とても気になる New Mac

 昨日に引き続いて新しいMacの話になってしまいますが...。やっぱり、この一連の流れはとても興味深い。もしあのスタイル(iMacやnew powerMacG3)がコンピュータの形態として定着していくとしたら...コンピュータと人との関係すらも、変えてしまうかもしれない。子供のころに夢に見ていた、近未来ってこういう形で、現実のものになっていくのだろうか...とさえ、考えてしまう。
 Appleはかつて、「1984」のコマーシャルで、パーソナル・コンピュータによって世界を変えようというメッセージを投げかけていたが、今回も同質な「何か」を感じたりする。
 どの分野においても、「開拓者」はプライドを持っている。それは、自分たちがこのジャンルを切り開いたんだという想いが強いからだろう。企業においても同様で、ダイムラーは、自動車の発明者としてのプライドを持ってメルセデスをつくり続けている。このメーカーの車づくりに対する姿勢は、他とは明らかに違う。(...と思う。)
 Appleも、パーソナル・コンピュータのジャンルにおいて、同様の想いを持っていると思う。でも残念なことながら、ダイムラーとは企業としての規模が違う。(Appleはベンチャー企業として歴史も浅い)したがって、ダイムラーが、真面目な先進性を打ち出してくるのに対して、Appleはその時代に対抗(抵抗?)するイメージを打ち出してくることになる。1984年にしても1999年にしても...
 
などと、考えたりしていた、今日一日でした。明日は、はたしたMac熱からさめるか?!

新しいマッキントッシュ

 新しいMacG3が発表されました。夏に発表されたiMacと同様の素材感とカラーリングが新鮮で、「コンピュータ業界のソニーを目ざす」と言っていたことを思い出しました。同時にiMacのカラーバリエーションも発表され、全部で6色となりました。
 スペックに関しても、とても刺激的で、2D/3D/ムービーを扱う上で、最高の機能が搭載されています。それでいて価格は思った程高くないようだし...アップルの意欲がうかがえます。iMacのスペックもアップしています。それでいて、100ドル安くなったのですから...。
 やはり、iMacが好調なおかげなんでしょうか...利益率は、決してかつてのように高く設定していないと思うのですが、シェアが低い分、コストを下げるには、かなりの努力が必要なはずですし...。
 このところの、アップルの商品を見ていると、ビジネスとしての戦略が明確ですし、その戦略の中で、デザインのポジションも明確に設定されています。
 iMacに勝負を賭けたようなところがありますが、勝負を賭けるだけの明確な差別性を持って、突然登場してきたわけですから、勝つための賭けだったわけです。
 その賭けに勝つことで、次の製品(上位機種であり、これが本当に勝たなければならない賭けなのですが)に思い切ったスペックとデザインを投入することができたわけです。同時に、iMacのカラーバリエーション化によって、シェアの拡大をはかり、コンピュータに今までと違った概念を誕生させ、「コンピュータ業界のソニーのような存在」となっていく...。(すごいストーリーですね~。1年前のアップルからは、想像できませんよね~。)
 そこには、メーカーにおけるビジネス戦略の一貫として、デザインが位置付けられているわけです。どこかのように、思い付きのスタイルで一喜一憂いているのとは、わけが違います。
 などと、いろいろ考えさせられた一日でした。
それぞれのスペックは、
Power Macintosh G3 (300MHz/64Mバイト RAM)
CPU:300MHz
メモリ:64Mバイト SDRAM/512Kバイトバックサイド2次キャッシュ
グラフィックカード:ATI RAGE 128 および16Mバイトビデオメモリ
ハードディスク:約6Gバイト Ultra ATA ハードディスク
CD-ROMドライブ:最大24倍速
その他:FireWire/USB/10-100BASE-T Ethernet
Power Macintosh G3 (350MHz/64Mバイト RAM)
CPU:350MHz
メモリ:64Mバイト SDRAM/1Mバイトバックサイド2次キャッシュ
グラフィックカード:ATI RAGE 128 および16Mバイトビデオメモリ
ハードディスク:約6Gバイト Ultra ATA ハードディスク
DVD-ROMドライブ:DVD-ROMドライブおよびDVD-Video機能
その他:FireWire/USB/10-100BASE-T Ethernet
Power Macintosh G3 (350MHz/128Mバイト RAM)
CPU:350MHz
メモリ:128Mバイト SDRAM/1Mバイトバックサイド2次キャッシュ
グラフィックカード:ATI RAGE 128 および16Mバイトビデオメモリ
ハードディスク:約12Gバイト Ultra ATA ハードディスク
CD-ROMドライブ:最大24倍速CD-ROMドライブ
その他:ZIPドライブ/FireWire/USB/ 10-100BASE-T Ethernet
Power Macintosh G3 (400MHz/128Mバイト RAM)
CPU:400MHz
メモリ:128Mバイト SDRAM/1Mバイトバックサイド2次キャッシュ
グラフィックカード:ATI RAGE 128 および16Mバイトビデオメモリ
ハードディスク:約9Gバイト Ultra2 SCSI 7200rpm ハードディスク
CD-ROMドライブ:最大24倍速 CD-ROMドライブ
その他:FireWire/USB/10-100BASE-T Ethernet
iMac
CPU:266MHzPowerPC G3(以前は233MHz)
メモリ:32Mバイト (最大256Mバイト) SGRAM:6Mバイト(以前は2Mバイト)512kのバックサイドキャッシュ
グラフィックコントローラ:RAGE Pro Turbo(以前は3D RAGE II)
ハードディスク:6Gバイト
CD-ROMドライブ:24倍速CD-ROMドライブ
その他:10-100BASE-T Ethernet/56Kbpsモデム/USBポート2基/内蔵ステレオスピーカー/USBキーボード/USBマウスが付属
 なお、新しいMacG3やiMacについて、詳しく知りたい方は、以下のところで見ることができます。
MacG3
http://www.apple.com/powermac/theater.html
iMac
http://www.apple.com/imac/

今日の夕陽はきれいでした?

シトロエンのブレーキパットとオイルの交換をしてもらった。

ちょっと前から、警告灯がつきはじめ、少々ブレーキが震えていることは分かっていたのだが、なかなか行きそびれていたのである。

僕の車のクセで、左側の外のパットの消耗が激しい。右のディスクに関しては、半分ぐらい残っているのに...(2CVは、フロントはディスクブレーキです。それも、ホイールに付いているのではなくインボード...ボンネットの中にあります。)

オイル交換と一緒にタペットも調節してもらった。それで分かったことなのだが、プラグが完全に捩じ込まれた状態でなかった。数年前に、いわゆる「カーショップ」で、プラグを購入した際、ショップの人がプラブのネジを、一度なめている(舐めるのではありません。ネジを外して締め、ネジ山をつぶすこと)のが原因だと考えられる。(2CVのエンジンはアルミ製なので、こういうことが起きてしまう。)それにしても、この間に車検も通したというのに、誰も気付かなかったとは...。今回点検してもらったガレージに感謝!

午後1時ごろからはじめてもらい、途中電気系等のトラブル解消に時間がかかり(結局ペンディングなのだが...)、終わったのは、4時をまわっていた。

この車のために半日も使わせてしまって、本当に感謝しています。

それで...夕陽なのである。そのガレージは、ここより東にあるので、ずっと夕陽を見ながら帰ってきたというわけです。大きな太陽が、西の地平線を漂い、沈んでゆく様子を心地よく眺めることができた。勿論エンジンの音が、全然良くなっているのに気分を良くしていたせいもあるが...

今日は、冬至。一年で最も太陽の力が弱まる日とされているだけに、大きな夕陽が印象的だった。

 

シトロエン。それから...

私の愛車のシトロエン2CVです。フランス語的に発音するなら、「ドゥー・シューボー」。2馬力という意味です。現在の馬力換算で、29HP(ホース・パワー)。今の軽自動車の半分ぐらいでしょうか...。

でも、この車には、いろいろなことを教わりました。運転する楽しさ...とても言うことをきいてくれます。軽いし、ラック・アンド・ピニオンだし、タイヤは細くて、雨や雪の日にも楽しめる...。あと、世話をする楽しさ...洗車やワックス掛けが楽しく思えてきます。ボンネットを開けて、多少の面倒は、見てあげたくなります...。

今の「いたれりつくせり」の車とは、全然違って、「自分がやらなければどうしようもない」...という心境になります。手間が、かかればかかるほど、愛着もわいてきます。

私は、住宅も同じようなことが言えるのではないかと思います。「いたれりつくせり」の家よりも、多少手間のかかる家の方が、愛着がわいてくるんじゃないでしょうか。

昔の人達は、手間の掛ることを、楽しみに変え、愛着をわきたて、人の絆を強める「きっかけ」になるように、知恵をしぼっていたと思います。

春や秋の祭なんかも、そんな意味あいがあるような気がします。田植えや、収穫のように、手間がかかる作業を、助け合いながらした後で、祭りへと移っていく...。そこには、共同体としての一体感を高める作用もあったはずです。

だから...住宅には、多少不便なところがあった方がいい。それも意図した「不便さ」が...。その方が、家族の生活の楽しみが増え、絆も強まると思います。

胎児の世界

ちょっと同じ話題が続いたので....
中公新書から、三木成夫氏の「胎児の世界」という本が出ている。サブタイトルに「人類の生命記憶」とあるように、地球に生命が誕生してからの1億年間を、胎児が10ヶ月の間で体験しているという内容で、20代前半で出会った時、とても強く印象に残るものであった。

実は、この本を読むより先に、本人に会っていて、それが縁で、この本を読んだのだが...。 そのころ、近くの大学で面白い夏期講議が開かれると聞き、会社をサボって、学生と一緒に講議を受けた。私が建築に携わっていることを話すと、都市の形成に関する興味深い話をされ(この話は、またの機会に)、その知識の幅の広さと、発想の豊かさに感動を覚えた。

その時の出会いがきっかけで、人間と場の関係を意識した設計を目ざしているような気がする。

ぜひ、この本を読まれることをお勧めしたい。自分が、ひとりで成立しているのではなく、まわりの人達と生命の記憶を共有しあって生きているのだということを、強く感じると思う。生まれてこのかたの数十年は、1億年にくらべたら、たいしたことはない。