「風の生まれる家」が完成しました。
この住宅は、名前の通り「風」を意識してデザインしています。
「風」は、空気の流れを表す言葉ですが、
いろいろな慣用的な表現でも使用されています。
ちょっと思い浮かべるだけでも、
風通しがいい
風向きが変わる
風上に置けない
肩で風を切る
などなど….
目に見えないものを表現する言葉である「風」は、
形に表すことのできないその場の雰囲気や感覚を言い表してくれます。
古今和歌集に
「秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」
という藤原敏行(ふじわらのとしゆき)があります。
「秋立つ日、よめる」とあるので立秋に読んだのでしょうが、
一瞬吹いた風に、世の変化を象徴する役割が、与えられています。
「風の生まれる家」には、そうした目に見えない感覚を、目に見える住宅として表してみたいと思いました。

今の時代、心を使う代わりに物やお金で解決しようとしてしまうことが多いのではないでしょうか。便利になれば、人間関係が希薄になるのは当然です。
至るところに神が潜んでいた時代のことを考えると、今はなんとも神様の隠れ場所が無くなっています。(神様に代わって人が潜む、物騒な世の中になってしまいました。)
「home」には、「故郷」という意味もあります。「うさぎ追いし..」 で始まるあの歌では、歌詞の1番で故郷の自然を懐かしみ、2番で故郷の人々を思い浮かべています。つまり故郷には「空間」と「人間(社会)」の両方が関係してい て、当然、過去を思っているわけですから、「時間」というものも関係しています。
家族の有り様は、その家族ごとに異なります。(あたりまえですよね。)では、なぜその住まいは、似たような間取りや同じぐらいの広さのリビング...なのでしょう。その家族の有り様が、住まいにあまり反映されていないのが、今の日本の住まい方ということなのでしょうか?
夢いっぱいの家を考えていたのに、設計が進むに連れ、いつの間にか「ふつうの家」になってしまう...。